これまでタバコの害と効用?をみてきました。 タバコにはいろいろな問題があることはわかっていただけたと思います。さいごにタバ
コに対して現在の社会がどの様な対応を取ろうとしているのか。タバコ対策の面からみ
ていきましょう。
1.「公共の場」で行うこと 現在の正しい知識を伝え広く知ってもらわなければなりません。
国は健康被害の問題、タバコ税の問題、産業としてのタバコ栽培や製造の問題、
これら全ての情報が容易に判りやすく国民の手に入るよう務めるべきです。
■タバコ宣伝の規制
健康被害が明らかな喫煙をうながすテレビ広告は反社会的です。PL法も存在する現代
社会では、むしろ企業の責任として喫煙の害を正しく知らせる広告を流すべきです。
■タバコ販売の規制
未成年に販売することは違法ですが、守られていません。自動販売機の設置は、むしろ違
法行為を助長する可能性があります。健康被害の面から考えれば、なるべくタバコが手
に入りにくい環境を作るべきです。タバコの値段を高くする事は喫煙を効果的に抑制し
ます。変な光景ですが、日本では多くの病院の売店や自動販売機でタバコが販売されて
います。官庁や公共施設など原則的に禁煙を強く求められる場所周辺でのタバコ販売は
ひかえるべきです。
■環境の整備
公共の場、交通機関では喫煙は厳しく規制されなくてはなりません。喫煙場所以外では禁煙が原則となります。狭い空間しかないところでは喫煙する人は我慢が要求されます。たとえば、国際線の飛行機では、3時間以内の飛行時間であれば全席禁煙が常識となっています。アメリカでは5時間以内の国内線は完全に禁煙になっています。日本の国内線では日本航空のみが2時間以内の飛行ではこの常識にしたがっています。
他の航空会社は乗客に喫煙させ、結果として全ての乗客が 受動喫煙の状態になる事を乗客を安全に運ぶサービスの1つとでも考えているのでしょうか。日本でもタバコに対する認識が欧米先進国にすこしづつ近づいてきていますが、はるかに遅れている事は間違いありません。短時間の飛行機の中で平気でタバコを吸わせる行為は客室乗務員の職場環境からしても非常識になりつつあります。
2.「職場」で行うこと ここで、労働省が求める職場でのタバコ対策についてみてみましょう。
労働省は職場における喫煙対策のためのガイドラインをつくり、これが守られるよう働
きかけています。
基本的考え方として以下の2つの事が重要と思われます。
■組織ぐるみで喫煙対策を行なう(個人の努力に依存してはならない)
喫煙対策は労働衛生管理の一環として職場で組織的に取り組み、全員の参加のもとに確
実に推進すること。そのため職場ではそれぞれの役割を持ち行動する。
経営者は喫煙対策が円滑に行なわれるよう率先して行動する。衛生管理者は喫煙対策に
積極的に取り組み、喫煙者が守るべき喫煙行動基準に従っていない者に対して適切な指
導を行なうこと。労働者は自らが喫煙対策を推進することが特に重要であることを認識
し、喫煙対策について積極的に意見を述べること。
■喫煙の場所を定める
喫煙対策の方法としては、禁煙タイムなど姑息的な方法は避けて喫煙室もうけ、そ
こ以外では禁煙とすることが望ましい。
事務室.会議室は部屋全体に設備面での対策を講じない限り、喫煙は喫煙室で行なう。
設備面での対策とは、空気環境で浮遊粉じんの濃度が1立方メートルあたり0.15mg以下
および一酸化炭素の濃度が10ppm以下となるように管理されなくてはなりません。これ
が実現できない場合には、その部屋での喫煙はたとえ応接室であっても行なうべきでは
ありません。
3.「家庭」で行うこと
蛍(ホタル)族を知っていますか。団地のベランダに夜な夜な現れるタバコを吸うお父さん達のことです。暗い中で遠目に見ると、タバコを吸うときに輝く火がホタルの灯火に似ているところから、このように呼ばれるようです。このホタルは夏に限らず、冬でも見つける事ができます。これが、家庭での分煙化の一般的な形です。受動喫煙の害は前に見た通りで、大切な家族の健康に気遣うのであれば、少し寒かったり、面倒くさかったりしてもこの努力はして欲しいと思います。さらに、タバコを吸うために多少の努力を周囲の人たちが強いる事は、喫煙する人のタバコの数量を減らす事にもつながります。タバコを吸いたいけれど吸う場所に行くのが面倒だ、寒くていやだと考えるうちはタバコを吸うのを思いとどまるのです。
タバコを吸う人の中にはタバコをやめたいと思っている人も多くいます。しかし、ニコチン依存症でなかなかやめられないこともわかってあげてください。何回も禁煙に失敗して悩んでいる、このようなときには医療相談や治療が有効です。
相談をどれほど必要にしているか、「喫煙者分析テスト」で知る事ができます。
必要な人はこのテストをプリンター出力して、家のタバコを吸う人に渡してください。
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