■脳卒中を起こしやすい人の特徴や、脳卒中の予防法をいくつか挙げてみました。
お酒好きなあなた、たばこ好きなあなた!ぜひ参考にしてみましょう。 |
◇◆◇脳卒中予防の今昔◇◆◇ |
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1)脳卒中を起こしやすい人(50年前の研究)
東北大学の公衆衛生学教室の近藤正二先生は、昭和初期から全国各地の長寿村、短命村を訪ねて、その原因を研究しました。その結果、秋田県は70歳以上の長寿者が日本一少ない短命県であり、それが若い年齢の卒中死が断然多いためであることを明らかにしました。そのうえで、他の地域との際立った違いとして飲酒と米中心の食習慣を指摘しています。
結論として、脳卒中の予防には「米の大食を避けて魚、肉、大豆から蛋白質を十分に摂る」ことを奨め、「これは、早老短命を転じて健康長寿にする食生活である」と述べています。 |
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2) 昔と何が変わったの?
50年前の脳卒中予防の原則は今でも当てはまります。日本は経済的に豊かになり続け、食事内容は大きく変わりました。(図5) 摂取熱量は減り、主食である米の大食はなくなり、動物性蛋白や脂肪が増加しました。この食生活の変化は、偶然にも脳卒中発症を防ぐ方向に働いたと思われます。(図6) しかし、摂取熱量が減っても体を動かすことはさらに少なくなり、最近では運動不足や肥満が深刻な問題として加わってきました。 |
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3)脳卒中を防ぐ新しい血圧の考え方
脳卒中は生活習慣を改めること(運動の促進、肥満の改善、食事の改善、飲酒や喫煙の中止)で発症の予防が可能です。最も大切なことは血圧をなるべく低く保つことです。(図7) 秋田県では集団の平均血圧を1mmHg低下させると、脳卒中発症が5%低下します。
血圧が低いほど脳卒中になりにくいことがはっきりしてきました。 この6段階の中で血圧が高いほど脳卒中が起き易いとされ、たとえ血圧が正常範囲であっても、高めの人は脳卒中発症が多く、120/80mmHg未満の血圧まで下げると脳卒中発症が最も少なくなります。120/80mmHg未満の血圧は理想血圧とも呼ばれています。 |
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図7で注意深く脳卒中と血圧の関係をみると140/90mmHgから脳卒中の発症が急に高くなります。140/90mmHg以上は高血圧症(病気)であり、血圧を下げる治療が必要です。重症高血圧、中等度高血圧、軽症高血圧のいずれも血圧は140/90mmHg未満まで下げることを目標にします。ここまで下げれば脳卒中はかなり起こし難くなります。 血圧を下げる手段として重症高血圧ではすぐに薬を使いますが、中等度高血圧や軽症高血圧で糖尿病その他の重大な病気や障害がなければ、運動の促進、肥満の改善、食事の改善、飲酒や喫煙の中止など非薬物療法を最初に行い、数ヶ月のうちで血圧が目標値以下まで低下しない場合は薬を使うことを考えます。(図9)
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