1.出血性脳卒中

出血性脳卒中は、出血した場所によって脳出血とくも膜下出血に分けられます。

1)脳出血
 脳出血は脳の実質内に出血して血の固まり(血腫)をつくる状態を指し、高血圧性脳出血とその他の原因による脳出血があります。
 高血圧性脳出血は被殻、視床、橋と呼ばれる場所に出血することが多く、場所の名前を付けて被殻出血、視床出血、橋出血とよばれることがあります。この場所に共通する変化は0.5@以下の細い血管(細動脈)に小さな血管のふくらみができて、それが破れると脳の中に出血が起きます。図6は太い血管から細い血管がひげのように枝分かれしているのがわかります。ここは被殻と呼ばれる部位です。

 図7は医師のシャルコーが1868年に脳出血で死亡した60人の患者さんの中から見つけ出した被殻の細い血管にできた血管のふくらみや破裂している部分をスケッチしたものです。破れる状態が生き生きと描かれています。
その後、このふくらみが閉塞して基の血管を閉塞させた場合は、下で説明するラクナ梗塞になることが知られるようになり、被殻や視床、橋の出血と梗塞は高血圧という共通の原因を持つ変化であることが明らかとなっています。

 その他の原因で起きる脳出血も出血する場所の名前をつけて、皮質下出血、小脳出血と呼ぶことがあります。これらの脳出血はアミロイド変性と呼ばれる血管の変性が脳動脈に起きて、血管が破れることで脳出血を起こします。高齢者に多く発症します。
 一方まれですが、もやもや病や動静脈奇形と呼ばれる脳血管の病気でも脳出血を起こすことがあり、これは比較的若い人に多いことが知られています。

2)くも膜下出血
 くも膜下出血は、脳の外側と頭蓋骨の間に水(髄液)で満たされたくも膜下腔と呼ばれる場所に出血する状態を指します。この出血の大部分は脳の動脈が弱くなってできた血管の膨らみ(脳動脈瘤)の破裂によって起きます。(イラスト)
 若い人のくも膜下出血では、動静脈奇形とよばれる病気が原因となることもあります。

脳卒中を起こす病気と原因



知れば防げる脳卒中

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