脳卒中の危険因子の多くは職場や市町村が行っている健康診断で発見できるんじゃ。
特に40代のお父さんの年齢くらいからお酒、たばこによる危険も出ておるんじゃ。危険因子を早く診断すれば治療しやすくなるんじゃよ。


▼キケン信号!▼

高血圧/糖尿病/高脂血症/心房細動(不整脈の一種)/お酒/たばこ/
季節と時間、年齢

 
1)脳卒中危険因子とは?

 脳卒中を起こし易くする環境、習慣、病気などを危険因子とよびます。
 たとえば高齢になるにしたがい脳卒中は起き易くなります。また男性は女性より脳卒中を起こし易いようです。このように年齢や性なども脳卒中危険因子と呼ばれます。
 私達になじみ深い脳卒中の危険因子では高血圧や糖尿病、飲酒や
喫煙習慣などがあります。この病気や習慣を持つ人が持たない人に比べて何倍脳卒中になりやすいかをみたものを相対危険度といいます。(図10)

 男性では高血圧がもっとも高い相対危険度を示していますが、女性では高血圧より喫煙や飲酒習慣の相対危険度が高く、このような習慣を持つ人が脳卒中に極めてなりやすいことがわかります。
 
2)集団からみた危険度とは?

 秋田県では女性の喫煙や飲酒の習慣は極めてまれで、数%以下です。そのため、習慣を持つ人の脳卒中になる危険(相対危険度)が極めて大きくても、習慣を有する人数が少ないので集団全体に与える脳卒中増大の影響は小さくなります。
 逆に、高血圧のように集団の中で多くの人が持っている危険因子では、たとえ相対危険度が喫煙や飲酒より小さくても、集団全体の脳卒中発症に大きな影響力をもちます。その結果、女性の飲酒習慣と喫煙習慣の集団での影響(集団寄与危険)は高血圧より小さくなります(図11)。

 この結果は地域の中でどのような危険因子を優先して無くしていくかを考えるときに有用です。
3)予防のターゲットは個人?集団?

 市町村や県で、全体として最も影響の大きい高血圧を最優先に脳卒中の予防対策を行なったのは、集団からみた危険度の評価に基づいた合理的判断に従ったものです。
 しかし、個人の脳卒中予防を考えるときには、その個人が持つ危険な習慣を保健婦や医師などが発見して影響力の大きさを含めて正しく告げて、脳卒中を起こし難くする方向に個人のライフスタイルを変えてもらうことが大切になります。
 生活習慣を変えたり検診の受診など脳卒中予防の選択肢はいくつもあります。予防に関連する情報を期待される効果の大きさを含めて伝えることが、個人にあった正しい予防法の選択につながります。



脳アラカルテ 

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