3.気づかない脳梗塞と脳出血

1) 無症候性脳出血
 最近、脳画像診断が進歩して全く症状を出さない脳出血や脳梗塞が多く見つかるようになりました。これらは、無症候性脳出血、無症候性脳梗塞と呼ばれています。

 無症候性脳出血はMRIでT2スターという処理をすると過去に出血した部分を知ることができます。それを利用して、脳卒中になったことのない66人、ラクナ梗塞で治療をした68人と脳出血で治療をした130人にそれ以前に無症候性脳出血が起きていたかを検査しました。
被殻、視床、脳幹は高血圧脳出血が起きやすい部位です。
一度脳卒中になった多くの人がそれ以前に症状のない小さな脳出血を起こしていたことがわかります。(図24)

【 図24 】

 ラクナ梗塞になった人でも無症候性脳出血が多いのは、この原因が高血圧による細動脈の変化であり、脳出血と共通の原因であるためです。

2)無症候性脳梗塞

【 図25 】

 無症候性脳梗塞は、高齢者に極めて多く見つかる脳の病的変化です。高齢になるほど無症候性脳梗塞の見つかる率は上昇し、70歳代では25%の人が脳梗塞を持っています。(図25左軸)
同じ部位に発症するラクナ梗塞の発症率と比較しました。発症率は10万人に対しての率です。(図25右軸)
無症候性脳梗塞の上昇の傾きはラクナ梗塞の発症率と酷似しています。この図からラクナ梗塞の100倍が無症候性脳梗塞の率に一致します。無症候性脳梗塞は発見される率(有病率)でラクナ梗塞は1年間で発症する率です。脳卒中では、発症率のおおよそ10倍が有病率になります。そのことから無症候性脳梗塞の1/10が脳卒中(ラクナ梗塞)になると思われます。

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